News&Topics

慶應義塾大学先端生命科学研究所 所長 冨田 勝氏が講演!

−7月会員定例会− 
(2018.7.13)

 7月会員定例会が7月13日(金)、オークスカナルパークホテル富山で開催され、慶應義塾大学先端生命科学研究所所長の冨田勝氏が「脱優等生が創るニッポンの未来」と題し、「脱優等生」と「脱都会」をキーワードにビデオ上映も交え講演を行った。講演会は健康委員会(森田弘美委員長)が主管し、会員等約100名が出席した。
 

写真:講師 冨田 勝氏

 ●講師 冨田 勝 氏
 

 冨田氏は、まず、慶應義塾が初めて首都圏外につくったキャンパスが、山形県の鶴岡タウンキャンパスであり、そこに設置されたのが「先端生命科学研究所」であると説明。設立当初、東京から人が集まらず人材集めに苦労したが、2年が過ぎ、クリエイティブな仕事は大都会ではなく、鶴岡のような地方でやるべきと確信したと述べた。
 続いて、研究所の主力技術が「メタボローム解析」という、唾液や尿・血液に含まれる何百種類という成分の量を1回でほぼ全て測定する技術であると紹介。この技術を用いた唾液でがんを高精度で発見する技術開発は、世界的なニュースになったと述べた。
 また、鶴岡キャンパスから生まれたベンチャー企業も紹介。ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ社は、鬱病患者の血液中ではPEAという物質の濃度が半分くらいに低下することに着目した血液検査による鬱病診断をその主力技術とし、この技術の開発は、自殺の原因のほとんどが鬱病であり、自殺による経済損失が年間で20〜30兆と世界中で言われている中で、大きな社会的インパクトがあるとした。スパイバー社は、NASAやアメリカ陸軍が成し遂げられなかった人工クモ糸の量産化に成功した会社であり、同社に集まる巨額の投資は、同社の技術に大きな夢や可能性があることの裏返しであろうと述べた。
 次に、慶應義塾の創始者・福澤諭吉の言葉を引用し、研究所の所長として「人と違うことをやろう」というスピリットを愚直に守ってきたと述べた。テスト勉強がよくでき、先生の言う通りにできる高い従順性を持った優等生が、9割はいなければどの社会も成り立たないが、優等生だけでは日本の将来は危ういと指摘。コスト競争では新興国に勝てなくなった日本では、これからは高くても買ってもらえるような、ものすごく良いモノやサービスや情報や技術を創ることが必要であり、そのためには失敗を恐れず人と違うことをしていかなければならないと強調。しかしながら、現在の学校ではそのような教育がほとんど行われていないと指摘した。そして、失敗にも拍手する文化が必要であり、人と違うことをする勇気がなくとも挑戦者を応援する勇気をもって欲しいと力を込めた。
 研究所では、高校生が最先端の研究に触れる意義は大きく、また、自分がやりたい・得意なことを世界的環境で発揮できる場を用意することがこれからの日本には必要であると考え、特別研究生制度を導入。地方からの人材育成にこだわり、世界的科学者を目指す強い意欲、故郷を世界的都市にする高い志、そして、研究成果をアピールすることでのAO入試もしくは推薦入試で大学を受験する気概と勇気を持っていることを応募条件としていると述べた。
 最後に、地方の再生について、「日本人、特に東京の人は『地方』という単語に格下感を持っており、『1軍は東京』というマインドがある。このマインドをひっくり返さない限り、地方の再生はない」と強調。だからこそ、「研究開発のようなクリエイティブな仕事では地方が格上だというマインドを組み込む必要がある」と熱く訴え、「地方再生の第一歩はマインドセットから」と語り講演を締めくくった
 


Copyright(C)2000-2018 Toyama Association of Corporate Executives All rights reserved.